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ナイフは人類にとって最も基本的な道具の一つだ。そして、狩猟では最も使う時間の長い道具の一つだ。銃よりもナイフにこだわりのある人も多い。そして、ナイフそのものが好きな人も多いだろう。
少しナイフのことを調べると、最新の粉末冶金鋼材を使った有名ブランドのナイフが……という記事がたくさん出てくるだろう。素晴らしいシャープさ、エッジの保持力も凄い、サビに強い。その通りだ。ただし、値段が高く、脆く、そして研ぎにくい。
初心者ハンターにそれらは不要どころか、むしろ有害だ。本当にツカエル、初心者が買うべきナイフはそれとは真逆だ。
なぜ、そのような鋼材の話題ばかりなのだろう?簡単だ。今更、440CやVG-10の話をしても、誰も面白がってくれない。雑誌を買ったり、新しいナイフを買おうと思ったりしない。みんな持っているからだ。もちろん、新しいモデルも出てくる。実用ナイフの需要は確実にあるからだ。それらのナイフは安い。というより、粉末鋼なんかのナイフが高すぎるというべきか。だから、売る側としては旨味がない。だから、世間には粉末鋼の話題ばかりなのだ。
Q. ダンプと軽トラ、どっちが優れていますか? A. 用途によります。
Q. ステップワゴンと観光バス、どっちが優れていますか? A. 用途によります。
Q. ハスラーとハマー、どっちが優れていますか? A. 用途によります。
そう、用途によるのだ。初心者が狩猟で使うために必要なナイフと、ナイフが好きな人が求めるナイフは違う。これから狩猟を始めようというあなたに必要なのは狩猟・ハンティングに使う実用品としてのナイフ。それも、初心者が扱いやすいものだ。
基礎知識 ナイフの鋼材〜現在の人類には完璧な刃物は作れない〜
ナイフの鋼材に求められる要素、あるいは性能の指標は一般的にはどのようなものだろう。世界最大級のナイフショップBlade HQのナイフスチールガイドを参考に考えてみよう。
- エッジ保持力 EDGE RETENTION
- 強さ TOUGHNESS
- 錆にくさ CORROSION RESISTANCE
- 研ぎやすさ EASE OF SHARPENING
なるほど、では、エッジが保持できて欠けにくく、錆びることもなく、研ぎやすいナイフを買えば良いのか……いや、そんなナイフは存在しない。
研ぎやすさとエッジ保持力は真っ向から衝突する。硬ければ刃持ちは良いけど、研ぎにくくなる。当然、硬いからだ。硬ければ脆くもなる。これら1〜4すべてをハイレベルで満たす鋼材は存在しない。合計点が決まっていて、それをどこにどう割り振るかが基本的な鋼材の種類だ。RPGの育成システムのようなものだ。もちろん、合計点が30点のものもあれば、優秀で40点のものもある。でも、合計点100点のものは存在しない。
では狩猟での重要性を考えよう。
1. エッジ保持力 EDGE RETENTION
1日〜5日程度、狩猟でのエッジ保持力があれば良い。無人島でサバイバルすることは無い。毎日とがないといけないのもめんどくさい。
だから、程々にエッジ保持力があれば良い。
大切なことは、もちろん、なるべく長く切れるに越したことはないが、それよりも自分で研げる、ということが大切だ。狩猟をしていくなら切れるナイフは必須だ。そして、ある意味最もメンテナンスに手間がかかる、自分の技量が必要となる道具だ。だから、研ぎやすいナイフを買おう。
2. 強さ TOUGHNESS
あまりいらない。日本では何日もかけて薪を割ったり、太い木をナイフで倒したりしながら狩猟することはない。
木を切るだけならのこぎりの方がはるかに優秀な道具だ。ナイフでは少し枝を払うくらいだ。だから、強度はそれほど必要ない。おなじく、分厚いブレードは重くなり、持って歩くにも使うにも大変だ。もちろん、重たいほうが枝は払いやすい。そうは言っても、150gもあれば十分だ。200gを超えると重く感じるだろう。
3. 錆びにくさ CORROSION RESISTANCE
これはそれなりに大切だ。もちろん、錆びやすくてもきちんと手入れすれば問題ない。
しかし、一日狩猟で疲れて帰ってきて、きちんとナイフまで手入れできるかと言われるとなかなか厳しい。雨が降っていれば使った後、濡れたまま持ち歩くこともある。鋼のナイフなら物によってはすぐに錆びてしまう。
だから、ある程度は錆びにくい鋼材が良い。
錆びても良いなら、普通の鋼が最強だ。安いし、よく切れるし刃持ちも良い。天気が悪くないなら、鋼のナイフというのも良いだろう。使ったらきちんと拭くことを忘れずに。
4. 研ぎやすさ EASE OF SHARPENING
重要だ。研げないナイフに用は無い。初心者は特に骨に刃が当たることも多い。それに、どんなナイフも切れなくなる。狩猟に限らず、研ぎやすさは重要だ。ところが、エッジ保持力と真っ向から相反する。
無人島に行かなければならない。あるいは、特殊部隊で敵地を彷徨わなければならい。そんな場合なら、どんなに研ぎにくくても、エッジ保持力の良いナイフがいいだろう。途中で研ぐことはできない。帰ってきてから、専門家に研いで貰えばいい。
だが、狩猟にそんなエッジ保持力は不要だ。それよりも、初心者はとにかく研ぎやすい方が良い。研ぎにくいナイフだと、研ぎ方があっているのか、上達しているのかもわからない。失敗に気がつくのも時間がかかるし、失敗してからリカバリーするのも大変だ。だから、研ぎやすいナイフがいい。エッジ保持力は数日持てばいい。
具体的にどんな鋼材?
鋼材の表を見て欲しい。世の中にはたくさんの鋼材がある。ここに載っていない鋼材もたくさんある。
PREMIUM STEELS
M390
CTS-204P
CPM-20CV
CPM-M4
CPM-S90V
CPM-S110V
Elmax
HIGH-END STEELS
CPM-154
CPM-3V
CPM-4V
CPM-S30V
CPM-S35VN
CTS-XHP
LC200N
MID-RANGE STEELS
1095
154CM
A2
D2
H1
O1
N690
VG-10
BUDGET STEELS
400 Series
AUS-8
CTS-BD1
Sandvik Series
いくつか見てみよう。
M390
粉末鋼で最強クラスのM390。素晴らしいエッジ保持力と強度、そしてサビにくさ。しかし、研ぎやすさは最低クラスだ。とにかく硬い。硬いのに強度も高いのは凄いと思うが、狩猟で初心者が使うものでは無い。値段も高い。
CPM-S30V
だいぶマシになってきた。タフネスとエッジ保持力を下げて、その分を研ぎやすさに回した感じだ。研ぎやすさ5はナイフ好きが良い砥石を揃えれば十分に研げるレベルだ。つまり、初心者には厳しいし、砥石も値段が張る。
D2
タフネスとエッジ保持力が高く、値段が安い。低価格のサバイバルナイフ的なナイフで見かけるD2、サビにそこまで強く無いことからセミステンレスなんて呼び方もされている。残念ながら研ぎにくさ抜群だ。
H1
サビないし、折れないし、研ぎやすい。でも、すぐ切れなくなる。ハンティング・海釣り専用の鋼材。ここまで用途がはっきりしている鋼材はなかなか無い。でも、ハンティングには向かない。
VG-10
Blade HQ曰く、「絶対使いやすいVG-10は最もニュートラルにバランスの取れた鋼のひとつだろう。」
それなりに研ぎやすく、サビにくく、必要十分な強度をもち、必要十分なエッジ保持力もある。素晴らしいバランスの鋼材。
440シリーズ
最もポピュラーと言える440を全部まとめて一緒にしてしまうところがナイフショップらしい。売りたいのはそこじゃ無いということか。個人的にはもう少し研ぎやすいような気がする。
選ぶべき鋼材は?
では、どの鋼材を選べば良いのか?
研ぎやすさが6以上、サビにくさが4以上ならどれでも良い。440なら440Cならそれなりに高性能な鋼材と言えるだろうし、BUCKはいまだに420HCを使っている。最近日本でも人気のMoraや、同じく北欧のMartiniなんかも左側の鋼材には目もくれない。研ぎながら使うためだ。
個人的にも420HCのスキナーでも何も困っていない。それに、安い。ナイフは最低でも3本は必要になる。硬いナイフを買えば、硬いナイフを削れる砥石や腕も必要になる。Lanskyのようなシャープナーでも良いが、それでも簡単では無いし、失敗した場合の修正が大変なのは一緒だ。とにかく、研ぎやすさを重視しよう。
研ぎやすさは鋼材とともに、HRC硬度でも推測できる。どのナイフメーカーもだいたいはHRC硬度を表記している。HRC硬度が60を超えると硬くて研ぎにくいと思って間違いない。必要なのはHRC55-59のナイフだ。
ナイフといえば、エッジ保持力やタフネスばかりが性能のように思うだろうが、研ぎやすさは極めて大切な性能だ。
440CやAUS-8だって発売当初は最先端のハイテク鋼材だったのだ。何も恥ずかしく思うことはない。ハイスペックだけど、研ぐこともできず切れないナイフを持っている方がよっぽど恥ずかしいし、いろいろな意味で使えない。
オールドガーバーだろうと、最新の粉末鋼だろうと、420HCだろうと、必要十分に切れたらいいし、必要なだけ切り続けられ、簡単に切れる状態にできるナイフが良いナイフだ。
基礎知識〜形状〜
狩猟で使うナイフの形状はいくつかある。
ドロップポイント
THE ハンティングナイフな超定番ナイフ。超定番ではあるのだが、解体に使いやすいかと言われると、そうでもない。なんでもできるけど、何にでも中途半端なナイフ。枝払い用のナイフをコレにしておけば、他のナイフを忘れてもなんとかなるので良いと思う。
細身のドロップポイント
大バラシに大活躍。普通のドロップポイントでもできなくはないけど、もう少し細くて薄い刃の方がやりやすい。力が必要な作業じゃないので、薄くて細い刃ののほうがきれいに解体できるし、疲れない。
スタンダード
その名の通り、スタンダードな形状。何にでも使いやすい。
ガッティングブレード
あまり使っている人を見かけないが、必須の便利ブレード。
肉や内臓を傷つけずに、皮だけを切ることができるように、先端が丸まっていて上向けに刃がついている。これほど便利なナイフはない。ドロップポイントも、これがやりやすいように先端が少し下がっているが、専用品にはかなわない。めちゃくちゃ便利だから、騙されたと思って一回使ってみて欲しい。
ガットフック
ドロップポイントのブレードに付いていることが多い。単独のものもある。
ガッティングブレードと同じようなもの。メインのブレードにつけるだけなのでナイフとして単純にはなる。腹を裂くには良いが、脚や背中の皮を切るならガッティングブレードの方が使いやすいかもしれない。
スキナー
皮をむく為の専用ナイフ。猪の場合は必須。これがないと皮は向けない。ドロップポイントですら難しい。ましてや、クリップポイントでは不可能だ。
スキナーは大きく湾曲した刃が特徴。先端で皮を破ってしまわないようにできている。湾曲している部分で、皮から脂を削ぎながら剥いていく。
見た目がやや不格好なので購買意欲はソソられないかもしれないが、必ず用意しよう。
バード&トラウト
その名の通り、鳥や川魚を解体する為のナイフ。細身で繊細な作業に向いている。
クリップポイント
サバイバルナイフのイメージだろうか。刺すことに向いているので、ナイフでトドメをさすには向いている。
小型のクリップポイントは鳥の解体に使いやすい。
のこぎり・ソーブレード
かっこよく言えばソーブレード。要するにのこぎり。猪や鹿の内蔵を抜くとき、骨盤を切断するのに使う。だから、ハンティング用のものは先端が腸を傷つけないように丸くなっていたりする。
刃先の形状
刃の付き方にも種類がある。コンベックスやスカンジグラインドなど。簡単に紹介しておこう。
コンベックス(ハマグリ刃)
鉈やドロップポイントのナイフなどで見かける。骨に当たっても食い込みすぎず、骨に沿って肉を切るには良いが、研ぎ方が他の形状と異なるのでとっつきにくい。最初は無難に避けておいた方が良い。
フラット
多くのナイフで採用されているスタンダードな形状。特に問題はない。
スカンジ
アウトドアブームでバトニング人気からポピュラーになった形状。
そのままだと刃先の角度が小さすぎて欠けやすいものも。狩猟で使うなら小さな小刃を付けておくのが良い。欠けてもベタ研ぎで修正できるので、初心者にも向いている。
他にもホローなどがあるが、これ以上はナイフ専門サイトを探してみて欲しい。あまりこだわる必要はない。
刃の厚み〜タクティカル系に要注意〜
タクティカル系のナイフなどマッチョなイメージのナイフだと太いことは良いことだ、とばかりに分厚い刃厚のものがある。刃が厚いと当然、丈夫になる。が、当然、重たくなる。
無人島でサバイバルしたり、金槌代わりに使ったりするなら分厚い刃も役に立つのだろうが、生憎、日帰りのハンターにはそんなサバイバルは縁がない。それよりも軽いほうが良い。なんでもそうだが、タクティカル系は重さを無視している(筋肉でなんとかする)ものが多いので要注意。
ナタ代わりに使うナイフでも、4mmもあれば十分だ。
有名ナイフは偽物(良く言えばレプリカ)が多く出回っている。ヤフオクやフリマサイトで買うと、本物かどうかわからない場合もある。国内ナイフ専門店(シェフィールドなど)か、海外有名サイト(LamniaやBladeHQ)で購入しよう。買ってから、本物かどうか確実に見分ける術はほぼ無い。よほど作りが悪ければ別だが・・・
実践編〜大物猟(鹿・イノシシ)オススメナイフ〜
ここからはオススメのナイフを紹介しよう。もちろん、他の似たようなナイフでも良い。参考にして欲しい。ナイフは1本では絶対に無理だし、狩猟を初めるときには他にもたくさんの道具が必要なので、実用性・コスト・使い勝手に優れたナイフをチョイスした。基本的には1本1万円を超えないナイフで選出している。
追記:基本的には高いナイフ ≒ 硬い鋼材なので使いたくないです。使いやすい鋼材で探せばケチらなくても1万円以下くらいなります。
枝払い兼他のナイフを忘れたときに使うメインナイフ
メインと言いながらも、一番どうでもいいナイフ。なので、似たようなものでも何でも良い。重すぎたり、長すぎたりすると持ち歩きにくいので注意。
- 大バラシに使うかもしれないので、ドロップポイントかクリップポイント(クリップポイントだと、刺すのにはよいが、解体には刺さりすぎるかもしれない)
- 枝を払うので、全長22cm以上のちょっと大きめのナイフ(そんなに大きくなくても良い)
- 枝を払うので、150g前後のそこそこの重さ(重すぎると持っていくのも使うのも大変)
- 犬が絡んだ時にトメをナイフでする場合もあるので、刃の長さはそれなりに長いものを。
COLD STEEL MasterHunter
実用ナイフの定番メーカーCOLDSTEELのその名の通りハンター向けのナイフ。少し刃が厚すぎるような気もするが、許容範囲内。これだけ1万円を超えてしまうが、名前からしてMaster Hunterなので紹介。グリップも良くて使いやすい。
169g 23.7cm 刃厚5mm。
鋼材がVG-1のものとCPM-3Vのものがある。3Vだと少し研ぎにくいので、砥石も研削力の高いものにしよう。また、錆びやすいので注意。あえて生産終了のVG-1を探しても良いだろう。
価格
1.3万円〜1.6万円
COLD STEEL SCALPER
実用ナイフの定番メーカーCOLDSTEELの実用ナイフ。
長さも十分で、スタンダードな使いやすい形状。やや大きすぎるかもしれないが、刃がそれほど厚くないので軽くて使いやすい。手が小さい人には大変かもしれない。
125g 285mm 刃厚3.5mm。鋼材は4116。
4116は高価な鋼材ではない。耐食性に優れ、包丁なんかに使われる。
グリップは滑りにくく、シースもしっかりしている。4000円程度のナイフだが十分に使える。
価格
4500円
MARTTIINI BIG GAME
フィンランドの実用ナイフメーカーMARTTIINIの狩猟向けナイフ。
持ちやすいハンドルに、バランスの取れたスペシャル・マルティーニ・スチール。4000円程度のナイフだが十分に使える。レザーシースなのが好みの分かれるところかもしれないが、それほど重要ではない。
ハンドルが黒でブレードがコーティングされていないモデルもある。
価格
4500円
STEEL WILL R375 ROAMER
コストパフォーマンスに優れることで人気のSTEEL WILL。鋼材は9Cr18MoV。中国製の鋼材で、ほぼ440Bに相当。細身で素直な刃の形状と握りやすいグリップ。
シースがいまいち使いにくいと言う評価もあるので、その場合は改造してしまおう。
価格
7500円
鹿の大バラシや猪の内蔵除去に使うフィールドドレッシングなナイフ
VICTORINOX Hunting XT
アーミーナイフのイメージが強いビクトリノックスだが、ハンティングナイフも出している。鋼材非公表。
研ぎやすく、十分なエッジ保持力がある。ブレード形状も使いやすい。
価格
6000円
BUCK PACKLITE FIELD MASTER KIT
BUCKの軽量ナイフのセット。鋼材420HC。剥き出しだから手が痛くなるかと思いきや、軽いので問題なく使える。
力を入れることは当然苦手なので、そういった作業は枝打ち用ナイフで行う。
価格
7500円
OUTDOOR EDGE SWINGBLADE
ブレードが回転してブレードを変えられるナイフ。鋼材はAUS-8。
フォールディングナイフで複数枚刃があるものと比べると、常に刃がグリップの中心にあるので使いやすい。
これだけは国内ですぐに購入できなさそうだが、ナイフショップ シェフィールドなどの取り扱いメーカーではあるので、依頼すれば取り寄せは可能ではないだろうか。
価格
60USD
スキナー
BUCK PAKLITE SKINNER
PAKLITEのスキナー。
鋼材剥き出しだが、繊細に皮を剥いていくのに向いている。420HC。
普通のサイズは生産中止のようで、Large Skinnerしかメーカーサイトには載っていない。国内ショップには在庫があるようだ。
GerberもBUCKと同じような立ち位置のメーカーだと思うのだが、Gerberの似たようなナイフは鋼材がものすごくチープという評判。BUCKのように420くらいで作ってくれれば良いのだが。
価格
3000円
Marbles Horn Skinner
変わった形のスキナー。スキナーはいろいろな形状がある。大きいよりは小さい方が日本の猪には向いている。鋼材不明。
価格
3000円
番外編 その他のおすすめナイフや有名ナイフ
MARTTIINI CONDOR TIMBERJACK
MARTTIINIのコンパクトなナイフ。スタンダードな形状と持ちやすいラバーグリップで使いやすい。実用ナイフとして最高のナイフ。
鋼材はcarbon steel。HRC59.5の模様。炭素鋼は錆びるが、よく切れる。一本あると何にでも使えて便利。
シースはプラスチックのものと、レザーのものがある。プラスチックシースは驚くほど簡素でチープ。実際やすいが。
価格
3000円
ナイフは趣味性が強く、形状や鋼材の好き嫌いも別れるので一概にここに挙げたものが良いわけではないだろうが、初心者が購入しやすく、十分に切れ、十分に刃持ちし、研ぎやすく、錆びにくいナイフを選んだ。一度、この中から、あるいは似たようなナイフを購入してみて、それからもっと他のナイフを買ってみても良いだろう。用途にあったナイフを用意しよう。
実践編〜鳥猟 オススメナイフ〜
鳥猟に使うナイフは大物猟のナイフに比べればなんでも使える。もちろん、対象が小型なので、小さいナイフが良い。ブレード形状はスタンダードかクリップポイントが良いだろう。ガットフックが付いていると腸を出せるが、ショットガンだと内臓が傷ついている場合もあるのでしっかり開いて洗ってしまうのが間違いない。エアライフルで内蔵に傷が無いことが確実なら、ガットフックで出すのも良いだろう。(腸を抜かずに持ち帰る方法もあるが、ナイフ選びの記事なので割愛する。)
Amazonでアウトドアナイフなどで検索すると、3000円くらいでしっかりしたデザインのナイフがたくさん出てくる。執筆時点(2021年)だとMOSSY OAKというブランドのものなんかがたくさん出てくる。これらは避けておこう。
鋼材は何でも良いとは言えど、それはナイフ用鋼材として十分な性能を持った鋼材での話だ。やはり、最低限420程度は必要だ。激安ナイフはもちろん激安な理由がある。粗悪品だと力を入れて切ったときに折れたりして怪我をする原因にもなる。きちんとしたナイフを買おう。また、中国メーカーや激安ナイフは火入れがきっちりできていない場合も多いようだ。同じ鋼材でも、火入れをちゃんとできていなければ、本来の性能は発揮できない。それなりのメーカーのほうが間違いない。
ただし、大手メーカーだから大丈夫とは限らない。大手も粗悪な鋼材で作ったナイフも売っている。メーカー・鋼材・デザイン・販売店に気をつけて選ぼう。
砥石
ナイフは使えば切れなくなる。研ぎながら使っていくのがナイフだ。砥石も奥が深いし、価格・サイズも手頃なのでだんだん増えていくだろう。まずはこういった砥石からスタートしてみたら良いだろう。もちろん、定番のシャプトンやキングでも良いが、ナニワのBASEは手頃な価格で良い。少し薄いが、これが削れて使えなくなる頃には自分にあった砥石が選べるようになっているだろう。
中国メーカーの砥石がAmazonなどで売られている。良いものもあるのだろうが、判断する方法はない。口コミはサクラだらけで当てにならない。他に比較する砥石を持っていないような初心者なら、うまく砥げない場合に砥石が悪いのか、腕が悪いのかわからなくて困ってしまう。国内メーカーでも安くて良い砥石はあるのでそちらを買おう。
実は最強!?Spydercoシャープナー
とにかく使えれば良いと考えるなら、スパイダルコのシャープナーがベスト。何も考えなくても研げるように作ってある。シャープナーという名前だが、砥石。普通の砥石で研ぐのと同じように刃が付けられる。うまく砥げなくて悩むくらいならこれを買ってしまおう。もっと高番手の追加砥石もある。
どこまで研がないとダメ?実用上は1000番でも十分。
番手は1000番でも問題ない。Youtubeで目にするような、新聞紙をスパッと切ったり、産毛を剃ったりするには8000 番以上の砥石や革砥も必要だが、切るのは枝か皮、肉だ。どちらかというと、1000番くらいでギザギザが残っているほうが切りやすい。3000番なら十二分だ。もちろん、新聞紙がスパッと切れるようになると楽しいが、狩猟には特に不要だ。
追記:色々やってみたけど、結局一番使ってるのはこれ。やっぱりお手軽で十分きれるのが一番。
色々とやってみたけど、結局ここに落ち着きました。
やっぱり簡単で手間がなくて、それでいて十分な切れ味にできるというのが一番。のんびりナイフ研いでる時間があったら山に行くか、寝てたい・・・
はい、下にも色々書いてますし、砥石も色々持ってますけど使わなくなりました!タンスの肥やしです。もう、これでいい。
*刃の形状が崩れてきたら砥石で修正は必要ですけどね。
SHARPAL 119N スティックタイプ ダイヤモンドシャープナー 1200番
もうこれだけでええやん。ハンティングに必要な切れ味には十分なるし、準備も不要。
シャープナーでは研げない!という人もいます。でも、ダイヤモンドで削れないわけがないので、研げます。問題は、スティックタイプのシャープナーだと硬い鋼材を同じ角度で全面をきっちり研ぐことが至難の業だということでしょう。さて、我々普通のハンターに必要なのはなんでしたか?1-3頭の獲物を解体できる切れ味があればOKでした。だから、ナイフも適度な硬度のもので良いですし、そうすれば研ぐも簡単です。このシャープナーで十分。セラミックの3000番も買いましたが、ほとんど使いません。髭剃りするわけじゃないので、これくらいで十分!
価格
2600円くらい