狩猟と銃の情報

狩猟・ハンティングに使う車はコレ!

狩猟・ハンティングをやるのにお金がけっこうかかりませんか?と聞かれることがあります。

ズバリ、一番イニシャルコストが高いのは車です。すでに持っている車が使えるならラッキーですが、日本でのハンティングで使いやすい車は限られています。ハンティングを始めるために購入するのであれば、最も高い買い物になるでしょう。ある意味、鉄砲以上に選択が大事なので、この記事も参考に慎重に選んでみてください。

必要な性能・要素はこれ!

4WD・四駆

間違いなく最重要項目。日本の山は荒れている道も多いので四駆は必須。雪が降る地域でなくても、かならず四駆を。

林道の奥でスタックしてしまうと悲惨。特に、奥に他の人が入っていたら、自分だけではなく道連れにしてしまう…

もちろん、4WDだからと安心せず、必要そうならチェーンやロープも用意しておこう。

狩猟での重要度
☆☆☆

デフロック・トラクションコントロール・グリップコントロール

どんなすごいオフロード車でも、デフロックなどがなければ一つでもタイヤが浮いてしまったら動けなくなる。急な上り坂のヘアピンカーブなどで起こりうる。

最近は電子制御でタイヤが浮いても駆動力を確保するシステムがあり、ハスラーなんかでも採用されている。様々な名称で呼ばれているが、何かしらタイヤが浮いても駆動力があるシステムがあれば良い。

狩猟での重要度
☆☆

最低地上高

どんな場所で狩猟を行うのかによるが、最低地上高が高いに越したことはない。最低地上高が低ければ、ちょっとした落石でも取り除かないといけなくて大変。

轍や溝を乗り越えるときにも重要。軽自動車の箱バンで狩猟している人も多いので、150mm程度でも地域によってはできなくはないが、高いほうが楽なのは間違いない。

180mm程度あれば断然楽ちん。

狩猟での重要度
☆☆

アプローチアングル・デパーチャーアングル

道路を横切る溝を越えるときや、駐車スペースが急斜面のときにはどんなに最低地上高があっても、急角度で侵入できなければ意味がない。

ジムニーなどのクロカンはもちろん、軽自動車の場合はハスラーのようなSUVでも十分に確保されていることが多い。軽の箱バンでも意外と山道を走れてしまうのは、これが十分にあるから。

普通車のSUVの場合は角度が小さい場合がある。そのような車だと、どんなに最低地上高が200mm程度あったとしても、溝を超えるときにはバンパーにあたってしまう。

狩猟での重要度
☆☆

積載性

これはどんな狩猟をするかで必要性が大きく変わってくる。

鳥猟ならどんな車でも問題ない。犬を使う場合でも、最近は軽自動車でも後席がフラットに倒せるのだから問題ないだろう。

四足(鹿・イノシシ)を積みたいとなると、なかなか大変だ。寸法的には入ったとしても、ハスラーのトランク・後部座席にイノシシを積みたいとは思わない。血も出ているし、ダニなんかもついている。軽トラのようにオープンな荷台が間違いなく便利だ。

鹿猟の場合、現場で解体して枝肉にして持って帰ってくるならどんな車でも問題ない。グループ猟であれば、軽トラなどの人がいることが多いので、初心者には重要性は低い。

狩猟での重要度
☆ – ☆☆☆(狩猟のスタイルによる)

燃費・走行性能

住んでいる場所から猟場までの距離次第だが、鳥猟や単独猟であれば長距離走ることも多い。そうすると、ある程度は燃費や走行性能も優れている方が良い。日常でも使うなら一層重要になる。

もちろん、猟場までが近い場合はこの限りではない。

狩猟での重要度
☆☆(地域による)

小型(特に横幅)

日本の林道は基本的に軽トラは走れるようになっている。もちろん、林業でも大きなトラックも使うので、道によっては、あるいは整備された時期によっては中型車でも入れる。

北海道などではまた林道の状況も、狩猟スタイルも違う場合もあるが、基本的に最低限の整備しかされていない道は軽トラ基準と思っておいて間違いない。

そうすると、大きい車では入れないか、入れても大変なことが多い。具体的には、Uターンできない、すれ違えない、最後まで行けない。もちろん、Uターンできなければバックすればいいし、最後まで行けなければ歩けば良い。ただ、大変だ。

だから、猟師はほとんど軽自動車だ。

狩猟での重要度
☆☆☆

オフロードタイヤ

SUVであっても、ほとんどの新車にはエコタイヤが装着されている。ところが、エコタイヤはアスファルトでもグリップ力は低いが、砂利道やぬかるみでのグリップ力は極めて低い。山に入るときは要注意だ。

雪が降る地域であればスタッドレスにしよう。そうでないなら、オールシーズンタイヤもおすすめだ。安いオールシーズンタイヤも出てきているし、タイヤ交換も不要で楽ちん。どちらもエコタイヤやオンロードタイヤより砂利・ぬかるみでもグリップする。

本格的なA/Tタイヤまでは最初は必要ない。初心者はA/Tタイヤが必要なところには近寄らないようにしよう。

いずれにせよ、過信は禁物だ。砂利道・ぬかるみでは路面状況によっては雪がつもっていなくても簡単にグリップを失ってしまう。安全第一だ。

狩猟での重要度
☆☆

オススメの車はこれ!

結局、どんな車が候補になるのかまとめてみた。いずれも4WDが前提だ。

ジムニー / ジムニーシエラ

ハンティングといえばジムニー!という人もいる。以前はパジェロミニもあったのだが…

最低地上高 205mm

オフロード性能は最高。ただし、最新型以外はデフロックが無い。アフターパーツで付けることはできるが、手間もコストもかかる。

ジムニーを選ぶ人はコストなんて考えてはいけない。

ただし、ジムニーのオフロード性能が必要な猟場は日本にはほぼ無く、ほぼ不要なオフロード性能のために色々と犠牲になっている。

良い点
最高のオフロード性能
新型は積載性も向上

悪い点
燃費が悪い
後部座席はドアがなく使いにくい
タイヤが大きく値段が高い
車両価格が高い

ハスラー / タフト

イノシシ・鹿を積まないならベストバランス。

最低地上高 180mm

長距離移動も快適、燃費も良く、十分な最低地上高とオフロード性能。特に、雪の場合は車重が軽いこともあり、ジムニー以上の場合も。

ちなみに、トラクションコントロールが軽自動車として初採用されたのはジムニーではなくハスラー。

ハスラーとタフトはどっちも似たりよったりのオフロード性能なので好みで選んでOK。後部座席がスライドするので、実用性だけならハスラーがやや良いか。

良い点
十分なオフロード性能
日常でも使いやすい
燃費が良い

悪い点
特に無い

エブリイ / ハイゼットカーゴ / N-VAN

N-VANはあまり見かけないが、エブリイやハイゼットカーゴは猟師にもよく使われている。(仕事用と兼用の場合も多いが)

最低地上高 150-160mm

オフロード用の車ではないので、最低地上高は150-160mm程度。ホンダ アクティは生産終了だが、最低地上高は190mmもあった。4WDもトラクションコントロールは無いので、タイヤが浮いてしまうような状況だと駆動力が無くなる。

荷物はたくさん積めるし、商用車だからこそ多少ぶつけたりしても気にならないかもしれない。

運転の腕に覚えがあれば使える。

良い点
安価な中古車も多い
積載性能に優れる
燃費もそこそこ

悪い点
商用車なので走行性能は低い
4WDはあるが、オフロード性能は限定的

軽トラ

文句なしである意味最強。

最低地上高 160mm

イノシシでも鹿でもなんでも載せられる。クレーンをつければ一人でも積み込める。

デフロック付きもある。値段も安い。旋回半径も小さい。多少ぶつけてもへっちゃらな頑丈さ。

良い点
最高の積載性能
安い
オフロードも対応(デフロックはあったほうが良い)

悪い点
日常では???ある意味、大活躍かもしれない
長距離移動はしんどい

ハイゼットデッキバン

日本で唯一の軽デッキバン。

最低地上高 160mm

性能や特徴は軽バンと同じ。トランク部分がデッキになっているので、鹿やイノシシでも積める。

軽トラはさすがに・・・という人には良い選択肢かもしれない。

良い点
4人乗れて、獲物も積める軽自動車という唯一無二の能力。

悪い点
商用車なので走行性能は低い
4WDはあるが、オフロード性能は限定的
軽トラと比較すると値段が高い

イグニス / クロスビー

軽自動車より少しだけ大きいSUV。現行モデルだとイグニスとクロスビーくらいか。全長・全幅ともに軽自動車とその他の小型SUVの中間程度。

最低地上高 180mm

軽自動車より大きなエンジンとしっかりしたフレームで高速走行も楽ちん。

最低地上高は180mmあるので、ハスラーと同程度。ただし、アプローチアングル・デパーチャーアングルは10度程度小さいので、溝を乗り越えるときにはバンパーをぶつけやすい。

良い点
軽自動車より優れた走行性能
軽自動車よりわずかに大きいだけなので林道でも使いやすい
燃費は軽自動車以上

悪い点
アプローチアングル・デパーチャーアングルがやや小さい

小型SUV / 中型SUV

日本の山道・林道・農道は狭い。車幅感覚が優れた人なら使えなくはないが、使いたくはない。

車種によってはアプローチアングルが小さかったり、デフロック系の装備がなかったりするので注意。

良い点
走行性能に優れる

悪い点
日本の山野は狭い道がほとんどなので、そのサイズがそのまま障害となる

大型SUV・ピックアップトラック

狭い道では巨大なボディはただ障害となる。ほとんどの日本の山野に活躍の場はない。

北海道などの猟場では活躍するだろう。(それも、地域や猟場によるので要確認)

良い点
走行性能に優れる
ピックアップトラックなら獲物もそのまま積める

悪い点
日本の山野では使えない(北海道など一部地域は除く)

なんちゃって軽SUV スペーシアギア / ekクロス

軽ハイトワゴンにアウトドアテイストを加えたなんちゃってSUV。

最低地上高 150mm

オフロード性能で重要な最低地上高が普通の軽自動車と同じ「なんちゃってオフロード」。もちろん、軽商用バンで狩猟をしている人も多いので、4WDであれば使えなくはない。

一部車種はグリップコントロールも搭載しており、その点では軽ハイトワゴンや商用バンと一線を画す。

良い点
日常では使いやすい
燃費も良い
一部車種はグリップコントロールが搭載されている

悪い点
肝心の最低地上高が軽ハイトワゴンそのもの

いかがだろう?狩猟のスタイルによっても必要な性能は異なるが、無難に使いやすいのはハスラー / タフトかと思う。日常使いを考慮しなくて良いなら軽トラも良いだろう。特に、猪・鹿の巻狩り(グループ猟)をするなら重宝がられる。

軽バンやデッキバンを使っている人も多い。しかし、オフロード性能は低いので入っていっても大丈夫か見極める力や、運転技術は必須となる。初心者は良い道具を使ったほうが楽だ。これらの車をカスタムして大径タイヤを履かせたりしている人もいるが、それはそれで別の趣味になってしまうので紹介はしない。(費用もトラブルも増えるので素直にジムニーかハスラーなどを買えば良いと思うが、オフロード性能を向上させたデッキバンは魅力的…)

中型SUVやデリカなどで狩猟をしている人もいるので、大きな車でも狩猟を行うことは不可能ではない。だが、楽なのは小さい車だ。大きい車体であればあるほど、回転できなかったり、脱輪したり、トラブルのリスクが高くなる。日本には大型SUVがその能力を発揮して活躍するフィールドは存在しない。

もちろん、SUVでない普通車でも狩猟はできる。単に行けないところがハスラーや軽トラより多いだけだ。狩猟に適した車があれば楽だが、車がないから狩猟ができないわけではない。グループ猟であれば誰かに乗せてもらってもよいだろう。移動中もいろんな話がきけるだろう。まずはトライしてみよう。

ryo

狩猟歴10年 鳥も四足も中途半端にがんばってます。美味しいお肉を食べるためならエンヤコラ。

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